アリ型とキリギリス型では、物事の捉え方、考え方が違います。アリ型は、二次元で物事を捉え、線を引いて考えます。キリギリス型は、三次元で捉えて、思考を拡散させてゆく、と説明できます。
この捉え方の違い、考え方の違いは、いろいろな所へ出てきます。
ハーバード大のクレイトン・クリステンセン教授は、イノベーションのDNAと言う本の中で、実行志向型経営者と発見志向型経営者と言う言い方をして、アリ型とキリギリス型を説明していますが、実行志向型はアリ型の事で、発見志向型(ここでは発想力型と言う)はキリギリス型の事を言っています。
アリ型人間とは、よく捉えれば、表面的な変化や表面の変化から類推できる事に、強いと言う事で、悪く捉えれば、物事の表面的な事のみ捉え、物事を追求しない、と言う事です。
日本人の長所になっている所は、目に見えている変化に強い事やわずかな違いを見分ける事で、微妙な変化も見逃さず、もの作り等に活かされています
この捉え方、考え方は、物事の表面的な変化や、表面的変化から簡単に想像出来る関係性に視点が固定される為に、物事の捉え方が浅く、線を引き考えるので、物事を限定して観てしまい、物事を追求しない為に、考えが深くなって行きません。
細谷氏は本の中でアリ型の人は、日々変わって行く事実から固定観念を持ち、固定観念を引きずりながら観て行くので、変化が大きくならないと気づかない事や、個々の具体的な事に意識が集中し、多角的に物事をみる事や、上位概念で物事を捉える事ができない人達、と言っています。
この特徴は、観えているものの変化に意識が集中する事になり、物事を深く追求しない為、アリ型の人は捉え方、考え方が、浅く狭い限定された観方になってしまいます。
アリ型に対する、長所、欠点等の詳細は、アリ型とは、をご覧ください。
キリギリス型の特徴を説明すると、キリギリス型は、三次元思考をして、考えを拡散させるので、物事をいろいろな角度から観られ、物事を追求する為、考える事を広げて行く、特徴があります。
つまり、いろいろな観方をして、物事を追求する為、知識をどんどん広げて行く捉え方、考え方をします。この観方、捉え方をする為、知識がどんどん広く深くなって行きます。
細谷氏は、事実をありのままに観て、新しい解釈を考えるので、変化に気づく事が早く、上位概念で物事を捉えられるので、本質や原因や目的を捉えられる観方をする、言っています。
アリ型とキリギリス型人間の違いを表現してみると、
アリ型の人は、枠をはめて平面的に考える特徴がある。この方が枠内では、より早く正確に物事を処理できるからだ。
細部にこだわりを持ち、関係性や構造で捉えるのではなく、見えている範囲で平面的に物事を捉える。
見えている範囲外の事には興味がなく、表面的観方に固定される為、全体を捉える観方はしない。
知識を記憶する方法も、早く思い出して結果を出す事に興味がある為、知識の量を重視する。
分かっている事をそのまま応用するので、分かりたいではなく知りたいので記憶する。
結果が出なければ、あきらめるか、他に依頼する。
関心がある事は、知識を使い行動し、枠内で早く結果を出す事であるので、枠内では力を発揮し、実行力がある。
キリギリスの人は、物事を立体的に捉え、考える枠はなく、可能性で考える。
好奇心が旺盛な人が多く、考える枠をどんどん広げて行くので、知識の幅と深さがあるT型知識を持つようになる。
想像すること、考える事が好きで、物事を関係性や構造、構成要素などで捉える背景を重視した観方をする。
記憶の仕方も、関係性や構造、構成要素、帰納的捉え方で記憶し、知識を役立てたいとの意識がある為、知りたいのではなく分かりたいで記憶する。
ものの観方は、細部も観るが全体も観る、観方をする。
可能性で考えるので、結果が出なくても、追い続ける事ができる。
行動より考える事を優先するので、発想力はあるが、実行力はない場合が多い。
上記した事は、少し極端に表現していますが、アリ型とキリギリス型の間に、線がある訳ではありません。
アリ型は、現実に起きている事に目を向けているので、現実を処理する能力に優れているが、現実の陰に隠れているものには、興味がない。
現実から簡単に想像できるものには、すぐに反応するので、比較的浅い考えで済む工夫や、改善はすばやく行える。
キリギリス型は、現実に起きている事に目を向けると言うより、現実に起きている原因や本質など、根本的な事を追求する為、何が原因で現実があるのか、を追求する。
この為、現実に起きている事の原因を掴めるようになり、原因究明から本質も掴めるようになる。
物事の起きる原因や本質が分かるので、問題解決力が増し、問題発見力もついてくる。
アリ型とキリギリス型の顕著な違いは、失敗に対する考え方です。
アリ型は、失敗を大変恐れるのに対して、キリギリス型は、失敗をあまり恐れず、再度挑戦する気持ちを持っています。
この違いは、Why思考とはの中の、チェックリスト、過去の失敗経験はの問いに対し、What思考は、二度とやらない、と答えるのに対し Why思考では、今度は成功するのではないかと考える事でも、お分かりいただけるのではないでしょうか。
この失敗に対する捉え方の違いは、アリ型上司の場合は、キリギリス型部下の能力を抑える事に繋がり、キリギリス型上司の場合は、アリ型部下の能力を過小評価する事に結び付きます。
失敗なくして成功なし、ですから、アリ型経営者が、悩むところです。
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