私たち人間は、霊長類に属し、他の動物とは比較にならないほど、思考力がある。この思考力とは何か、を追求してみる。
私たちは、意識することなく思考をしている。
このメカニズムを解明する事で、何か問題が起きた時、どう言う方向で考えれば、問題が解決できるかの、指針にしてみます。
誰が考えたかは、分からないのですが、私たちが考える事を、コンピュータに例え、私たちは、if〜then〜で判断している、と例えている。
こう言う状況の時は、こう判断する、と経験を通して、私たちは、考えを作って行く、と言う事です。
このif〜then〜が集まって、簡単な行動や判断ができるまとまりを、プログラムと言い、日常の繰り返しの動作は、プログラムかプログラムが更に集まったスキーマで処理され、行動している。
脳科学で、これを証明できる訳ではないのですが、こう考えた方が、色々な事が説明し易くなるので、if〜then〜で思考を説明する事にする。
私たちは、経験を通して色々覚えた事を使い、日常の仕事をしたり、生活をしたりしている。
何回も、繰り返す事は、過去に覚え、考えて出来上がったプログラムやスキーマを使い、こなしているので、それほど疲れることなく、色々な事が早くできる様になる。
このスキーマは、長い経験を通して出来上がる為、強く記憶され、新たな技術が生まれ、この技術を使わなければならない状態になるなど、新たなやり方に変える必要が出てきたとき、上手く覚えられないなど、障害が生まれる。
この障害は5つに分類され、私たちが変化に対応できない理由になっている。
5つを挙げると、
1、一度間違った知識を取り入れてしまうと、それを修正する事が難しい、バグ修正の問題
2、例え正しい知識を取り入れたとしても、それを違った場面や状況で適用するのが難しい、領域固有性の問題
3、問題自体が、様々な要因が複雑に絡み合ってできている場合、それらを調整しながら、解決に持って行く事が、難しい問題、不良構造化の問題
4、自分が今、どの様な状況にあるか、又何をすべきかを判断する事が難しい、メタ認知の問題
5、考えられる事を、半自動的に滑らかに行う為には、時間を掛けて、練習しなければならない、熟達化の問題
この5つの理由が、私たちに、新たなものを取り入れる事や、変化に対応する為に、自分自身が変化しなければならない時などに、障害になる。
私たちは、教えても覚えられない人に、更に教えて覚えて貰う行為を、よくする。
これでは、覚えできる様になる解決策にはならない。既にあるプログラムやスキーマが、邪魔しているからだ。
ではどうすればよいか、覚えられない、できない理由を探す事です。
理由が、バグか、領域固有性の問題か、不良構造の問題かなどを見つけ出し、それを修正すれば、覚えられる、できる様になる。
不良構造の問題であれば、問題を支える下位の問題に分解し、1つひとつを点検し、不良の個所を修正すればよい。
私たちは、目に見えない所、隠れているものに、気づかない捉え方をしている。
視覚的に見えるものに対しては、非常に優れていて、少しでも変化すれば見逃さない見方ができる反面、目に見えない所で起きている変化には、気づき難い見方、表面しか見ていない見方をする。
現在にように、世の中が複雑になると、目に見えない背後で、色々な処理が行われ、結果だけが見えてくる事が多くなり、見る意志がないと、見えなくなってきている。
これが、新しいものに気づいたり、新たなものを取り入れる事が苦手な、変化に対応できない理由の一つです。
ガニエは、私たちが日常行っている事を5つに分類した。言語情報、認知技能、認知方略、運動技能、態度です。
言語情報とは、私たちが記憶する時に覚える、言葉で表現できる情報です。
認知技能とは、言語情報で記憶した事を、読んだり、書いたり、計算したり、事実や手順を覚えたり、分類したり、比較したり、分析したり、判断したし、評価したりする技能の事です。
運動技能とは、体を動かす為の技能です。
態度とは、行動する事を選ぶ、選択する事で、その人がどんな行動を取るかを決めるものです。
認知方略は、他の4つ事から行う事を、更に効率的に効果的にできる様にする方略で、認知方略があると、賢い事ができる様になる、認知技能を更に高度化したものです。
私たちは、日常の仕事や生活で、色々な言語情報を覚え、言語情報を基に、認知技能で処理し、運動技能を使い、行動をします。
私たちが、他の動物と比較して特に優れている事は、言語情報を多く持ち、それを基に、認知技能を使い行動する事です。
特に認知技能は、道具の使い方を始めとして、高度な経済活動までできる認知技能を持っています。
又言葉は、様々な事を、経験しなくても伝えられる、他に移せる為、コミュニティの中で、共通の価値観などの文化を作る事ができ、私たちに、大きな恩恵をもたらします
私たちは、最初に言語情報を多く覚えようとします。それは、全ての行動の基が、言語情報を得る事から始まるからです。言語情報がなければ、認知技能を使う事も、運動技能を使う事もできません。
私たちの行っている事の殆どが、認知技能と運動技能を使っています。
しかし、私たちは、そんな意識を持つことなく考え行動しています。
私たちが、他人より優秀になりたいのであれば、言語情報だけに頼るのではなく、認知技能を十分に働かす必要があります。
特に、独自色を出したいのであれば、言語情報は、誰が受け取っても同じ言葉になりますが、認知技能は、各自みな違うので、個人差が生まれ易く、出せる結果も違ってきます。
私たちは、学校の成績で判断されてきた為、学校教育は、人を判断し易い、言語情報だけを優先して、人を判断してきました。
この為、言語情報を得れば、それでよい、と思ってしまい、認知技能をあまり使わなくなり、記憶しただけで満足してしまう傾向が強いです。
私たちの研修が、あまり役立たない事が多いのは、言語情報に頼りすぎ、認知技能をあまり使わない為、独自色が出せず、優れた行動に、結びつかないからです。
今世の中が複雑になってきて、役に立つ事は、かなり認知技能を使わないとできなくなってきています。
それは、言語情報の裏に隠された言葉の裏側、背景が重要な位置を占める様になったからです。
表面に表れる事を見ていただけでは、なぜ、そんなことが起きるのか、どうしてできるのかが分からず、対策が打てないからです。
言語情報だけで記憶しているのと、認知技能を使った記憶の仕方には、どんな違いがあるのでしょうか。
私たちの記憶の仕方は、既にある記憶に関連付けて記憶する事が多いです。それを心理学が証明しています。
私たちは、チャンク化、精微化、体制化すると、記憶し易くなります。
これは、関連付けたり、整理したりすると覚えやすいと言う事で、私たちは、関連付けたり構造化して記憶しています。
今役立つ事は、言語情報を基に、認知技能を使い、言葉の背景を知り、対処して行く事ではないでしょうか。
言語情報だけを優先した記憶法は、関連付けが少ない為、より多く記憶できない事と、言葉の背景を読めない為、あまり役立たない記憶になってしまう危険があるのではないでしょうか。
新たな付加価値を生み出す様な発想力は、ガニエの理論で、どう説明できるでしょうか。
当組織では、認知方略に当るのではないか、思っています。
発想力は、言語情報、認知技能、運動技能だけでは生まれない、と考えています。
発想力は、これ以外に、認知技能を熟達化する事が必要で、言語情報、認知技能、運動技能で得てきたものを、更に熟達化させる認知方略がないと、生まれないと考えています。
その理由は、付加価値を生み出す様な発想力は、言語情報、認知技能を十分に使い、物事の背景を掴むことが必要だからです。
これが基になり、より高度な、考える事を賢くする、認知方略を得る事で、新たな価値を、創造します。これは、考える事自体を賢くする、認知方略があって初めて成
り立ちます。
業務で必要な知識・スキルを身につける事を、ガニエ理論で説明してみます。
業務で求められる知識・スキルは、できる事が目的になります。と言う事は、言語情報を得ただけでは目的を達成できません。できる様になるためには、言語情報+認知技能+運動技能を使う事になります。
私たちは、業務に必要な知識・スキルを得るために、最初の頃は言語情報+認知技能+運動技能をフル活用して、取り組みます。しかし、業務遂行能力は、繰り返して行っていると、業務遂行の為のスキーマができ、更に続けていると、言語情報+認知技能が固定化し、半自動的に処理できるようになるのは良いのですが、運動技能だけを使う様になります。
新たな知識・スキルを得るための言語情報+認知技能が固定化され、あまり使わなくなります。これが惰性と言って、成長できない理由の一つです。
業務遂行の為のスキーマができるのは良い事なのですが、言語情報、認知技能を使わなくなることに、問題があります。
業務遂行のスキーマができ、半自動的に処理できるようになった時、認知方略に持って行ければ、状況が違ってきます。認知方略は、認知技能の熟達化ですから、認知技能を止めてしまうのではなく、得てきた認知技能を更に発展させる方向に、持って行けばよい訳です。
今まで行っていた事を、発展させればよい事になります。つまり、もっと効率的、効果的な方法はないか、新しい方法はないかと、認知技能を更に使う事です。
成長している人は、常に言語情報+認知技能+運動技能をフル活用して、成長しています。惰性を排除して成長する為には、成長の原則に従う必要があります。
成長の原則とは、常に今の実力より上を望み、望んだことをとにかく実行してみて、実行した結果の情報を得られ、新たな事に得られた情報を使う機会のある事を言います。
常に言語情報+認知技能+運動技能を活用している人の事です。
常に言語情報+認知技能+運動技能を活用する為には、言語情報+認知技能+運動技能を、使う事を、習慣化する事が有効です。それには、言語情報+認知技能+運動技能を常に使う、態度を養う事で、言語情報+認知技能+運動技能を使う事を、選択できる態度、モチベーションを持つ事です。
モチベーションを培う方法は色々で、その人の価値観を満足させる事で生まれる場合や、使命感を持つ事で、人に役立ちたいなどで生まれる場合など、いくつもあります。又、小さな成功の積み重ねや、やれると言う自信からも生まれます。
ID理論では、ここを狙って積極性を引き出そうと、理論や学問を利用しています。
この自信は、積極的に言語情報+認知技能+運動技能を、使う事でも生まれてきます。
言語情報+認知技能+運動技能を積極的に継続的に使う様になると、ガニエ理論のもう一つの認知方略が生まれてきます。
これが熟達化と言うもので、人を一つ上に引き上げてくれる認知方略です。
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