今までの一般的な研修を説明すると、有名講師を招いて、大勢の人を一か所に集め、講師のレクチャー中心で、行われる事が多いと思います。
この方法の利点は、多くの人に、講師の高度な知識を披露できる事です。
披露と書いたのは、研修参加者、学び手が、どのくらい、講師の知識を吸収したかが、分からない事です。
私たち日本人は、この方法に慣れていますので、それなりに学び手は、知識を吸収できると思います。
しかし問題はここからで、吸収した知識は使われないと、1か月後には、90%が忘れてしまう事です。
研修が役立たないと言う意見は、この部分を指しているのではないでしょうか。
又、私たちは、この方法で評価されてきましたので、研修での知識吸収、新しい知識を覚えた、と言う感覚で満足してしまい、それ以上は、行動しない人が殆どです。
知識を吸収する事と、物事をできる様になることは別もので、私たちに必要な事は、業務でできる様になる事です。
この目的からみるに、私たちの今までやってきた研修は、如何に身にならないかが、分かって頂けたのではないでしょうか。
私たちの研修は、知識だけを大切にした研修で、その知識は、使わなければ、忘れてしまう、と言う事です。
他でも説明しているので、別な角度から説明すると、IDの研修は、ニーズ分析→学び手分析=ゴール分析→目的の設定→研修デザイン→リソース開発→研修実地→評価=フィードバック→フォローアップの形で研修を進めます。
最初は、社員が新たな知識・スキルを必要とするニーズがあるかを、調査します。
ニーズがあると判断されると、ニーズを感じる本人以外、上司や、研修費用を出す人、周りの同僚や部下、場合によっては戦略との兼ね合いなどで、生まれたニーズを調査し、ニーズの本質を探る様にします。
ニーズを明確にする目的は、明確な目的は、努力する方向が見えて、努力を無駄にしない事、今後行われるデザインがし易くなる事が目的です。
次に行う学び手分析は、生まれたニーズに対し、研修を受ける学び手が、どのくらいの能力を持っているか、を調査します。
この調査も、上司を始めとして、周りの人を巻き込んで行い、できるだけ正確に、学び手の能力を調査します。
ニーズ分析と学び手分析の結果を総合すれば、どんな研修をすれば、目的を達成できるかが、かなり正確に見えてきます。
次に、学び手分析と並行して、ゴール分析と言う、どこまで出来ればゴールに達したと言う、評価法と、どのプロセスを経て、ゴールに達するのかの、プロセス分析を行います。
ここまでの目的は、次の目的の設定を明確にし、どう評価してゴールとするかを明確にし、どう研修をデザインすれば、効果ある研修ができるか、を検討する為です。
次に行う研修のデザインから、理論や学問を多用して、研修を効率的、効果的にして行きます。
デザインの最初は、研修全体を、学び手がどう感じるか、に焦点を当てて、デザインを考えます。
IDの研修は、学び手が、興味を持て、やれそうだと思わせ、挑戦したらできて、自信が付いた、と思わせる必要があります。話す事、行う事の内容を、ID理論のARCS理論に沿った内容に、する必要があります。
その他にも考慮する事として、どう話をまとめれば、学び手が身につけ易いか、心理学の応用から導き出したり、研修中に他メンバーと対話をさせたり、話をまとめさせたり能動的な行動を多くし、研修に自ら参加している意識を養ったりします。
学び手が、研修を自分事として捉え、努力してゴールを達成するのだ、と言う気持ちを持って貰う様、研修をデザインして行きます。
その他に、研修で行う事が、学び手の能力以上の事はさせない、リソースが見つけ易い事などを考慮し、研修をデザインして行きます。
次は、リソース開発です。今までの過程を経れば、どんなリソースが、必要かが、見えてくると思います。
見えてきたリソースを探す事になります。
どうしても見つからないのであれば、見やすさ、分かり易さを考慮して、自分で作る事を考えてもよいです。
次が、研修実地です。研修全体が、ID理論に合っているか、話す、行う事が効率的か、効果的かを検討しつつ、研修を実地して行きます。
研修実地中の講師のフィードバックは、非常に重要です。
学び手が、やる気が出る様に、自信がつくように、適切なタイミングで、フィードバックを行います。
次が評価です。IDでは各種テストやアンケートを通して、多くの評価材料を得て、評価を行います。
評価を行う目的は、他でも説明しているように、学び手に、方向性を与える事が目的です。
最初に説明した通り、従来の研修には、評価が殆どなく、研修をやりっぱなしの印象が付きまといます。
適切なタイミングでの評価は、非常に効果があり、反省の材料になったり、次に行う行動の指針になったり、学び手の次の行動を決めるのに役立ちます。
最後がフォローアップです。
評価で出ていた事をもとにフォローアップを行います。
又、研修中に行ったフィードバックで補いきれない事を、フォローアップで補う事もあります。
ゴールに達する評価が出なかった場合は、フォローアップでゴールに達するまで行う事になります。
IDの理論に合った研修は、どう言うものか、がご理解いただけたのではないでしょうか。
IDでは、ニーズ分析から始まる研修全体が、ゴールに向かって、ゴールに到達できる様にデザインされる事が特徴です。
しかも、自ら学ぶ成人学習の方向に向いた方法で、研修を行います。
今までの研修法とは、研修効果が全然違う事が、ご理解いただけたのではないでしょうか。
当組織では、作れるとの自信を持っています。
その理由は、いくつもありますが、第一に、IDの研修では、学び手に興味を持たせ、やれるとの気持ち持たせ、やってみようと言う気持ちが生まれ、やった結果できたと、自信が持てる様にデザインします。
これを実現する為に、例えば、身近な人の話をし、この研修が学び手に取って、自分事になる様にし、研修メリットを説明する事により、学び手が、この研修を行えば、こんなメリットが得られるかを実感でき、挑戦してみたらできた、と言う自信に繋がる結果を得られるので、学び手にとっては、興味、挑戦、自信と言う、物事を進める基本が得られるので、工夫改善が当たり前の気持ちの基礎を作れると思うからです。
これらの気持ちを持つ事を、強制されて行う訳ではありません。
研修をこなしている過程で、自然に身につく、マインドです。
やらされ感のない方法で、行うので、学び手に必要な事は、研修に真摯に向き合う気持ちだけで、興味、挑戦、自信と言うマインドが養われて行きます。
この研修法を、継続して行っていると、このマインドが社員に根づき、工夫改善が当たり前のマインドを作り易くなります。これが、工夫改善が当たり前の文化を作れる自信です。
IDを取り入れると、研修等学びを、内製化する事が増えてきます。この内製化に伴う問題点を整理してみます。
内製化のメリットを挙げてみます。
Ο 自社に適したプログラムを実地できる→経営戦略に沿った研修ができる。
Ο 現場のノウハウを蓄積できる。
Ο 講師となった人材の成長が見込める。
Ο 職場風土に影響を与える ロールモデルを示す事による他社員への影響。
Ο 研修プログラムの修正・変更が容易。
Ο 研修内容の見直しが容易。
内製化のデメリットを挙げてみます。
Ο 研修成果の基準がない。
Ο 自己流の研修になる。
Ο 社内のコストが増える。
Ο 講師の質を確保が難しい。
Ο 社外の専門知識・スキルが得られない。
これだけのメリットが生まれる事が分かる。あとはどうデメリットを乗り切るかが問われるが、一番目と二番目はIDを行うと、心配する必要がない。IDを取りいれる事で解消できる。
講師の質の確保は、講師になる自覚を持ち、成人学習を身につけるように学んで欲しい。これが、メリットに挙げた職場風土によい影響を与え、その企業にノウハウを蓄積できる基になる。
最後の問題は、その企業のトップの知識・スキルになるので、外部委託するか、常日頃の努力でカバーする事になる。当組織の、新な付加価値を生み出す考え方は、この事に役に立つので、少しずつ身につけ、新たな事を創造して欲しい。
IDを取り入れると、コストの上昇は、避けて通れない。IDは、時間が経てば採算が合い易いので、変化に対する対応の投資と考え、行って欲しい。
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