アクションラーニングには、心理学や組織学の様ないくつもの学問を基礎にした、優れた結果が出せる仕組みがあります。この仕組みになる要素を説明します。
私たちは質問で物事を解き明かす人を、よく見かけると思います。好奇心の強い人や子供たちです。
物事を解き明かすには、質問は有効な手段で、物事の分からない所を聞くのが質問ですから、質問して答えが得られれば、質問対象物をよく理解できるようになります。この原理を使うのがアクショラーニングです。
アクショラーニングの場合は、更に効果を高めるため、視点の違うメンバー間で、問題を良く理解するために質問をし合い、答えを出し合います。これを行うと、問題を多角的に観られ、問題の原因や本質が観えてきます。原因や本質が分かれば、問題を解決し易くなります。
私たちは、知識を得るインプットを重視していますので、質問の様なアウトプットはあまり得意でなく、アクションラーニングの会議の中で、なかなか良い質問をする事ができません。
この様な事が、日本では、アクションラーニングを上手く行えない理由の一つかも知れません。
質問のもう一つの力は、人は質問されると、質問の内容に沿って深く考えます。質問の仕方で、どんな事を解明したいかが、決まります。例えば、なぜ、そうなるのか?は起きている原因を追究する質問です。
問題を、どう解決したいかでも、質問の内容は違ってきます。例えば、誰も考え付かない解決策をだしたいのであれば、他にこの問題を解決する方法はありますか?を何回も繰り返し、革新的な解決策が出るまで行います。
質問の仕方で、方向と深さがある程度は決まります。この事が分かっていれば、どんな質問をすれば、どんな方向のどれだけ深い洞察が得られるかが分かってきます。
アクショラーニングは、慣れてしまえば、それ程よい結果を得る事が困難なものではありません。
優れた経営者がよく行う事も、社員に優れた質問をする事です
その他にも質問の効果はいくつもあり、ある本によれば、7つの力があると言います。
答えを引き出す力、思考力を鍛える力、貴重な情報を引き寄せる力、状況をコントロールする力、人の心を開く力、聞く力を向上させる力、人をその気にさせる力、の7つの効果です。
他の方法ではできない質問力を利用して、今までできなかった問題解決をするのがアクションラーニングです。
上記7つの質問の効果は、個人に対して生まれる効果ですが、4〜8人のグループで質問をし合う事には、更に多くの効果があります
もっと詳細に説明すると、質問をするとは、その人が分からない事を相手に聞く事です。分からない事とは、その人が観えていない事で、その人の観方が反映されたものです。
グループで質問をし合う事には、メンバーの観方の違いが反映されることになり、問題をメンバーの違う観方で見る事になります。
会議で行う意見と質問の違いを、見方の視点で説明すると、意見は人から借りたものでも、本やネットから得たものでも言えますが、質問は、自分で考え、自分が分からない事を見つけだした時質問できます。
意見は自分の観方を反映したものとは一概には言えず、質問は、自分の観方を反映したもの、と言えます。
実際にグループで質問し合ってみると分かるのですが、提起された問題を、質問を通して、各メンバーの視点で見ている事に気づき、問題をいろいろな視点で見る事ができます。
このグループでの観方が、問題の原因や本質を見つけたり、アイデアを出したりする事に役立ち、問題の洞察やアイデアに結びつき、よい解決法になって行く事になります。
今よく多様性が必要だ、と言われます。多様性が必要な理由は、いろいろな角度から検討できるからです。この深い多様性を、グループで質問し合う事で発揮できるのです。
優れた発想ができる人は、いろいろな角度から物事見て、物事を洞察する事から、新たな価値を生み出したり、複雑な問題を解決したりしています。これと同じ効果が、グループで質問し合う事には、あります。
優れた発想をできる人になるには、本人が時間を掛けてWhy思考を続け、業務やビジネスの解明、理解をする必要がありますが、グループで質問し合う事は、時間を掛けなくてもできるので、非常に効率の良い問題解決法になります。
グループで、質問を通して問題を解決する事には、この様な効果があります。
他にもグループで質問し合う効果はあり、問い掛けられると、その気になり、普段よりよく考えるようになる、他メンバーの刺激を受けられ、さらい深く考える事ができる、他メンバーの質問がヒントで、更に新しい質問を生む効果も出てきます。
質問されると人は、答えを探す為、答えが分からないと、答えを得ようと、学習に人を向かわせる効果もあります。
また、質問されると、答えなければならないので、人が言っている事をよく聞く、傾聴の力がついてきます。
一つの質問が、全メンバーに向けての質問になるので、質問、答えを通してグループのコミュニケーションが密になります。
意見を言われるのと違い、質問はその人を重要な人と思わせる効果もあるので、よいコミュニケーションができます。
また、質問は、先ほどの人の心を開くことにも影響するので、強いチームビルディングができます。
質問はメンバーより質問に焦点が当たるので、一人の人が責任を負う事を避け、問題が全メンバーのものとなり、メンバーの結束力を強めます。これらのことを通して、メンバーは会議に対し、強いコミットメントを持つようになります。
アクションラーニングでは質問で会議を進め事の他に、ALコーチが質問を通して、会議から多くの学習を得るため、振り返りリフレクッションを会議の途中と終わりに行います。
アクションラーニングの本質は、質問を通して問題を解明し、解決策を考え実行に移し、問題を解決するための多くを学習し、問題解決をして行く事です。
リフレクッションは、学習をする機会を与える振り返りを行うもので、会議がうまく進められていない時や、重要な事を学習して欲しい時に、ALコーチの質門を通して行われます。
リフレクション効果とは、簡単言えば反省する効果です。
行動ばかりの人と、行動と反省を繰り返す人では、時間とともに行う事が違ってきます。
反省をしている人の方が、考える事行う事が、賢く無駄のない事ができる様になります。それは反省を通して、考えている事行っている事の良し悪しを判断し、次の行動に活かしているからです。
その他にも、リフレクションは、何を学習すればよいかなどが分かり、足りないものは、学習や訓練で得て行く、行動計画に盛り込まれて行きます。
アクションラーニングは、行動計画を作り、計画の検証を行い、必ず実行します。
実行を促すために、実行責任者と実行期限を必ず決め、行動に移します。
仮に実行できなかった場合には、次のセッションで、実行できなかった事が問題になり、再び質問から会議が始まります。
アクションラーニングでは、実行してみなければ分からない暗黙知を重視し、実際に行う事で得られる学習をリフレクッションで行います。
アクションラーニングでは、実行して、実行結果を検証し、そこから学びを得るまでが一つのサイクルと考えます。
実行する事で得られるものは多く、実行する事でしか得られないものも多いことを、アクションラーニンでは重視します。
実行し検証して、初めて問題を解決できた、と捉えるのがアクションラーニングです。
なぜ、アクションラーニングが、新たな解決策や新たな付加価値を生み出す様な、優れた結果を、出せるのでしょうか?
アクションラーニングでは、提起された問題を質問とその答えで再定義します。再定義する目的は、優れた解決策になるようにする為です。
この目的を達成するにはどうすればよいか考えると、問題をいろいろな角度から観て、問題の原因や本質を見極めたり、解決し易いようにしたり、問題を捉え直す事が有効な方法です。
この事を実現するためには、会議出席者が、提起された問題をいろいろな角度から観る必要があります。これを実現する手段が、グループで問題を質問とその答えで解き明かす事です。
会議出席者が質問するとは、各メンバーが提起された問題に対して、分からない部分、観えていない部分を質問する訳です。
質問とは、質問する人の質問に対する捉え方が反映されたもので、会議の中で出てくる質問は、メンバーの問題に対する捉え方が出てきます。
これをメンバー全員が共有すると、結果的に、問題をいろいろな角度から観ている観方になって行きます。問題を多視点で観た事と同じことが起きます。
アクションラーニンが優れた結果を出せる会議になる訳の一つが、問題を質問とその答えで解明する事です。一つと言ったのは、まだあるからです。
問題を解明して得たものから問題を捉え直し、実行計画を作る前に、今まで会議で行ってきたことを振り返ります。
問題を質問で解明する間にいろいろな質問、いろいろな答えが出てきます。これらをここで反省、見直すのです。
どんな所が良かった、どんな所が悪かったなど反省、見直しします。この事によって、会議で出されたものが検討でき、実行計画が更に優れた結果になって行きます。
このリフレクションは、計画作りのもとになるだけでなく、問題を解決するために何を得られたか、何を学ばなければいけないかが得られる事になります。学ぶ必要があるものは、計画に入れて実行して行きます。
その後リフレクションで出てきた事をもとに、計画目標を作り、実行計画を作り、計画の検証を行い、実行します。
実行計画ができて、計画の検証が終わったら、必ず実行します。
実行しなければ得られない暗黙知などを得る為に、必ず実行します。ここも、アクションラーニンが優れた結果を出せる理由の一つです。
会議の最後は、会議全体の振り返りです。計画を立て、実行した事で得られるものをリフレクションで見直しします。このリフレクションも、会議を行った事で得られたもの、問題解決に必要な足りないものをどう学習して行くかなどを振り返ります。
このリフレクションで、次に繋がる問題解決法が伝承され、次の会議に活きてきます。忘れないうちに、次に繋がる事を整理します。
アクショラーニングは、問題の本質を掴んだ解決策を考えだせるだけでなく、会議を行う事で得られるもの、実行して得られるもの全てを得て、問題を解決する方法になって行きますので、効率的な高度な問題解決ができる会議の仕方になって行きます。
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